空き家について

「空き家」とは、一体何なのか?

■現在、人が居住せず、日常的若しくは継続的に使用していない建築物であり、またはこれらに準じる状態にあるもの。つまり、家だけではなく、建築物が対象になっております。

空き家と日本の歴史背景

■高度経済成長期に、地方から都市部への移動により、住宅需要も都市部に移動し、地方の住宅需要が減少した為に、空き家が増加しているという事実。

■戦後、国が経済発展、景気対策の為に、住宅の建設を促進したものの、住宅の除却(取り壊しや廃棄)は進められなかった為に、空き家が増加しているという事実。

空き家になる具体的な要因

■居住者の死去、入院、転居

■相続人が居住しない

■二次的住宅(別宅、別荘、倉庫、子孫への予備的住宅)

■第三者(主に不動産業)への譲渡、委託に対する嫌悪感。

■賃貸、売却の受け手がいない

空き家の解決策

■国や地方自治体の法律や条例の改正推進

■リフォームやリノベーションをし、新たに活用する(例:シェアハウス、高齢者の憩いの場)

■更地にして、コインパーキングなどに活用する

空き家の問題点

<地域の問題点>

■風景、景観の悪化(=地域イメージの著しい低下)

■治安の低下(=犯罪や不審火の誘発)

■衛生面の低下(=ゴミの不法時や動物の棲家と化す)

■安全面の低下(=家屋老朽化による落下物など)

空き家というのは、所有者ではなく、地域が迷惑をこうむる事になる。


<所有者の問題点>

■リフォームやリノベーションをするのに、高額な費用を捻出しないといけない

■除却(更地)にすると、固定資産税が約6倍にも上がってしまう

■代々受け継いだ土地を売却や賃貸に流通させる事に対する、ためらい

→空き家を解決する方法はいずれも、決断までに時間を要する。
その結果、解決方法を思案する時間だけが進んで行き、その時間に比例して、空き家も老朽化の一途を辿るという、「悪循環」に陥るのが、所有者の問題点である。

空き家の現状

■日本全国の全住宅に占める、空き家の割合:13.1%(約757万戸)
(※2008年、国土交通省「住宅・土地統計調査」より)

<内訳>

「売却用住宅」:売りに出しているが買い手がいない住宅 4.6%
「賃貸用住宅」:賃貸に出しているが借り手がいない住宅 54.5%
「二次的住宅」:別荘や別宅、短期宿泊施設などといった目的が明確化されている住宅 5.4%
「その他の住宅」:上記以外の理由で、使用目的や管理が明確化されていない住宅 35.4%

→賃貸用住宅に次いで、適性な管理や使用目的が明確化されていない空き家が多いという事実です。


■京都市の空き家の割合:14.1%(約11万戸)

図1

京都市の空き家率は、全国平均よりも高いという現状です。

京都市がなぜ空き家が多いのか

■「町家」という昔ながらの建築が多く残っており、現代の法律では町家をリフォームなどの改築、除却(更地)にするのが困難であるというのが大きな原因の一つです。法律の改正が求められています。

現在の主な空き家対策、取組み

■「所沢市空き家条例」の制定:全国初の空き家に特化した条例(今までは、環境、防犯、景観などの条例の中の一部として扱われていた)。

・制定日:2010年に埼玉県所沢市が制定。
・目的:空き家の所有者に対して、その適切な管理を義務付けることにより、地域の防犯と生活環境の保全を目的とする。
・内容:本条例が履行されない、従わない場合は、市長が所有者に対して、指導、命令、氏名等の公表という措置を取る事ができる。
・効果:管理不全の相談解決率が44.6%から施行後、59.6%に増加。施行後、所有者の自発的撤去が、39事例発生。

→本条例は、一定の効果があったと結論付けできる

■「大仙市空き家条例」の制定

・制定日:2011年に秋田県大仙市が制定。
・目的:(前項の「所沢市~」と同内容)
・内容:前項の「所沢市~」の内容に加えて、市が「行政代執行」(義務者に代わり、なすべき行為をし、その費用を義務者から徴収する事)をすること。
・効果:2012年3月、全国で初めて行政代執行による空き家の撤去が行われた。

→実際に行政代執行の費用が徴収できていないという問題が残り、賛否両論を生む結果となった。

■その他地域の動き

・東京都足立区、長崎県長崎市、福井県越前町、新潟県見附市などでは、撤去の助成制度、除却に伴う固定資産税の増加を据え置く、など多岐に及ぶ空き家対策条例が施行されている。


■「京都市空き家の活用、適性管理等に関する条例」:2014年4月1日より施行開始

・制定日:2013年12月24日に京都市が制定。
・目的:空き家の発生の予防、活用、適正な管理、跡地の利用を総合的に推進し、安心かつ安全な生活環境の確保、地域コミュニティの活性化、まちづくり活動の促進、地域の良好な景観の保全に寄与することを目的とする。
・内容:空き家が管理不全状態にならないよう、自らの責任において、適性に管理しなければならず、管理不全状態にある場合は、直ちに管理不全状態を解消しなければならない。管理不全状態の是正勧告に従わない場合は、命令、氏名等の公表、標識の設置をし、違反した者には5万円以下の過料を徴収する。

空き家問題の今後の展望

■専門家の予測では、2008年の全国の空き家率である13.1%から、2028年には、23.7%に達するのではないかとしている。つまり、今後は空き家は増加の一途を辿るであろうという予測が立てられている。

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